ポーランド石油最大手で国営のPKNオルレンはこのほど、独パッサウ出版グループから民間メディア大手のポルスカプレスを買収した。取引額や具体的な日程は明らかにしていない。現地経済紙『プルス・ビズネス』によれば、買収額は1億2,000万ズロチ(2,700万ユーロ弱)に上る。
与党「法と正義(PiS)」は政権に就いて間もない2016年以来、外国資本傘下の国内メディアを「報道が偏っている」と批判。メディアの「再ポーランド化」を唱えてきた。オルレンにとっては先月末の新聞・雑誌小売大手『ルフ(Ruch)』に続くメディア事業の買収で、反対意見を封じたい政府の思惑が次第に現実のものとなってきている。
米系『ニューズウィーク』は今回の取引について、「地方紙の掌握で、野党が強い都市部における与党支持を伸ばす狙い」とコメント。政府からの圧力にさらされている独立系日刊紙『ガゼタ・ヴィボルチャ』は「報道の自由、メディアの多様性を縮小する動き」と報じている。
ポルスカプレスは主要地方紙20紙(発行総数:36万部/日)や地方週刊紙100紙強、月刊誌2誌の発行、無料ローカルニュース・ポータル「ナシェ・ミアスト」の運営などを手がけ、読者・ユーザー数は約1,740万人に上る。年商規模は1億ユーロ強、従業員は2,500人弱。(1PLN=28.23JPY)