チェコ下院、「国産食品保護法案」を可決

チェコ下院は26日、食品小売店に一定比率の国産品販売を義務付ける法案を可決した。事実上、輸入の制限を意味し、ヒト・モノの移動の自由を定めた欧州法に抵触する可能性が強い。流通業者らは「旬のある青果をはじめ、品不足・値上がりが懸念される」と強く反発している。アンドレイ・バビシュ首相が国内食品最大手アグロフェルトを間接的に保有していることもあり、野党からは「首相の私腹を肥やす結果になる」との指摘も出ている。

同法案は、「欧州食品メーカーの同じ商品でも東欧向けの製品は西欧向けより質が劣る」とする「ダブルスタンダード問題」を解決する取り組みの一環として提出された。果実、野菜、乳製品、食肉などチェコで栽培・生産可能な食品130種について、来年から店頭に並ぶ商品に占める国産品の割合の下限を定める。義務付けられるのは、店舗面積が400平方メートルを超える小売店で、初年度にあたる来年の下限は55%。以降、毎年3ポイントずつ引き上げ、2028年に73%とする。

発効には上院及び大統領の承認が必要となるが、上院は野党が優勢のため、否決が見込まれる。ただ、上院否決、大統領拒否権発動の場合でも下院が単純過半数で再可決すれば立法化される。

ドイツ、フランスを含む欧州連合(EU)加盟8カ国の大使は、すでに下院採決前の段階で議会に否決を呼びかけた。欧州委員会は法律となった段階で態度を表明する予定だ。

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