エストニアの商談プラットフォーム運営会社、1100万ドル調達

人工知能(AI)を活用した商談プラットフォームを運営するエストニアの新興企業パクタム(Pactum)が、「シリーズA」の投資ラウンドで1,100万米ドルを調達した。従業員を増やして事業の本格スタートに備える。まず、米フォーチュン誌が選出した米国の有力企業500社に照準を合わせ、顧客に取り込むことを目指す。

パクタムは企業の調達業務の効率化が進んでいないことに着目。AIを用いて交渉・契約を自動化することで時間と手間を省き、契約管理を容易にするソリューションを開発した。売り手、買い手の双方が重視する点を踏まえて取引の条件・目標をあらかじめ明確にし、チャットボットがサプライヤーと交渉する。

狙いは取引高が小さすぎて再交渉に労力をかけられない契約だ。マルティン・ランド最高経営責任者(CEO)によると、米国大手500社で再交渉できないために無駄となる資金は、1社当たり平均2億4,000万ドルと推定される。ある企業の拠点でパクタムのソリューションを試験運用した結果、1カ月当たり150万米ドルのコストが削減できたという。

売り手側にも「チャットボットのほうが交渉しやすかった」という声が多く、売り手と買い手の双方が満足できる結果を導き出すことで、良好な取引関係を育む助けとなりそうだ。

今回のシリーズAラウンドでは英アトミコがリード・インベスターとなり、エストニアのメタプラネット、独プロジェクトAのほか、個人投資家としてヤーン・タリン氏、オイット・カウクヴァ氏、ターヴェト・ヒンリクス氏、ステン・タムキヴィ氏が参加した。投資取り決めに基づき、アトミコのパートナー、ベン・ブルーム氏がパクタムの取締役に就任する。

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