ポーランドの化学素材大手シントス(Synthos)は5月23日、米国の化学企業トリンセオからドイツの合成ゴム事業を買収することで合意したと発表した。買収額は4億9,100万ドル。競争当局の承認を経て来年中の取引完了を見込む。今回の買収でシントスは合成ゴム生産で世界3位に浮上する。
シントスは買収に伴い、独ライプツィヒ近郊シュコパウの工場や研究開発施設などを取得する。トリンセオのゴム事業の従業員数は約440人で、多くが同工場で就業している。
シントスによると、トリンセオの独子会社の営業利益は5,000万~6,000万ユーロ程度。シントスはタイヤの製造などに使われる溶液重合スチレン・ブタジエンゴム(SSBR)の生産設備などの遊休施設を稼働させることで生産増につなげ、2,000万ユーロの売上増を図ることを計画している。
シントスは合成ゴム、絶縁材、接着剤、ラテックスなどを生産する。売上の80%は合成ゴム製品で、仏ミシュラン、独コンチネンタル、米グッドイヤー、伊ピレリ、ブリヂストンといった主要タイヤメーカーに納入している。
トリンセオは世界各地の24カ所に生産拠点を持ち、3,500人を雇用している。