欧州連合(EU)加盟国は5月25日の首脳会議で、新型コロナウイルスワクチンの接種を受けた人などにEU共通の証明書を発行し、域内を自由に移動できるようにする制度の導入を承認した。欧州議会による承認を経て、7月1日から同制度の運用が開始される。
同制度では「EUデジタルCOVID証明書」と呼ばれる証明書をワクチン接種者とPCR検査で陰性の人、コロナに感染して回復した人に無料で発行するというもの。域内各国は入国時に同証明書を提示した旅行者を受け入れる義務を負う。入国時のPCR検査、入国後の一定期間の隔離は原則的に不要となるが、変異したウイルスによる感染の急増などで各国が必要と判断すれば実施できる。
制度設計をめぐっては、加盟国と欧州議会に溝があったが、双方が20日に妥協案で合意。加盟国は同合意を受け入れた。
証明書はスマートフォンなどに保存されるデジタル方式と紙方式の両方で取得可能で、各国が取得者の入国時にQRコード化されたデータ(氏名、生年月日、接種したワクチンの種類、接種日や検査の記録など)をチェックする仕組みとなる。
欧州委員会のフォンデアライエン委員長によると、必要となるシステムの整備は6月1日までに完了する見通しだ。