伊とクロアチアでワイン紛争が再燃、「プロセッコ」の商標巡り

●スパークリングワインの「プロセッコ」は輸出好調

●クロアチアは13年のEU加盟時にも「プロセク」の承認求める

イタリアとクロアチアの間でワインの名称を巡り紛争が発生している。クロアチアがダルマチア地方で生産されるワインの名称「プロセク(Prosek)」の国際的な承認を求めて欧州委員会での働きかけを開始したためだ。クロアチアは2013年の欧州連合(EU)加盟時に「プロセク」の承認を求めたが、イタリアのスパークリングワイン「プロセッコ(Prosecco)」に類似しているため却下された経緯がある。同問題の再提起にイタリアでは強い批判の声が上がっている。

イタリアの「プロセッコ」はスロベニアとの国境に位置するアドリア海沿いのトリエステにあるプロセッコという地名に由来する。同地名はスロベニア語では「プロセク」となり、旧ユーゴスラビア全域でも同様に呼ばれている。

両ワインの味は大きく異なるが、イタリア政府は「プロセク」の承認により両者が混同される恐れがあると主張している。イタリアは欧州域内では「プロセッコ」に対する商標権を保持しており、トリエステを含むベネチア地方産でなければEU域内では類似した名称を用いることができない。

「プロセッコ」は順調に市場を拡大しており、2021年1-3月期には前年同期比で8%の輸出の伸びを記録した。このため類似した名称が世界各地の製品に用いられているのが現状だ。

イタリア政府は過去にもプロセッコの商標保護に努めてきた。政府は2009年、プロセッコ生産地に対し高品質ワインの原産地であることを示す「DOCG」認証を出した。

EU域内にはこの他にもワインの商標に関する紛争がある。イタリアのフリウリ=ヴェネツィア・ジュリア州はハンガリーの高級ワイン「トカイ」の商標の使用停止を訴えて退けられ、その後「トカイ(Tocai)」に代わり「フリウリ(Friulano)」という名称を使用している。

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