「オープン・バルカン」構想、モノとサービスの移動の自由で委員会設置

●同構想は西バルカン市場統合に向けたイニシアチブ

●EU加盟の遅れを受け、市場統合によりEUとの格差を縮める狙い

アルバニア、北マケドニア、セルビアの首脳は4日、ベオグラードで会談し、3カ国間のモノとサービスの移動の自由を実現するため、実行委員会を組織することで合意した。西バルカン市場統合に向けたイニシアチブ「オープン・バルカン」の一環で、今週にも関税局、植物検疫局など関係機関の代表が初会合し、進捗状況を確認する。

セルビアのブチッチ大統領は、アルバニアのラマ首相および北マケドニアのディミトロフ副首相(ザエフ首相が辞意を表明したため代わりに出席)との共同記者会見で、オープン・バルカン構想が3カ国の実業界の賛意を得ていることに触れた。また、人の移動の自由化が、経済成長・発展を後押しするという見地に立ち、これを推進する姿勢で一致したと話し、12月にティラナで開かれる次回の首脳会談で労働許可に関する基本合意書に調印する予定を明らかにした。

3カ国は今年6月末、地域協力に関する経済フォーラムの開催されたスコピエで基本合意書を交わした。西バルカン諸国の欧州連合(EU)加盟手続きが遅れていることを受け、市場統合により経済力を強めてEUとの格差を縮める狙いだ。

その現実性をめぐっては、既存の「地域共同市場」構想との整合性や、ボスニア・ヘルツェゴビナ、コソボ、モンテネグロが未参加なことで、疑念が生じている。

ただ、モンテネグロのクリヴォカピッチ首相は3日、ラマ首相とブチッチ大統領を首都ボドゴリツァにおける非公式晩餐会に招き、関係者を驚かせた。モンテネグロとセルビアの関係はここ数年、緊張が続いてきたが、セルビアを批判してきたジュカノビッチ大統領(社会主義者民主党:DPS)に反対する勢力が昨年の議会選挙で勝利。その代表者であるクリヴォカピッチ首相が関係改善に向けて一歩を踏み出したとの見方もある。

なお、3カ国首脳は会談に先立って、3カ国の企業代表と話し合いを持ったほか、米シンクタンク大西洋評議会の代表とも会合した。地元メディアによると、地域の持ち株会社22社(傘下企業184社)の代表が出席したという。

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