●CDSSの的中率は68%まで上昇
●スキャンデルム社は韓国のスタートアップコンテストで3位入賞
モスクワ市の情報技術部(DIT)によると、市内の病院で最新のデジタルツールの利用が拡大している。人工知能(AI)を活用した臨床意思決定支援システム(CDSS)も例外ではなく、先月中旬までに、医師が診療する前の予備診断への使用例は200万件を超えた。
CDSSは医師が診る前に、可能性の高い診断名を3つ提示する。医師はこれを顧慮したり、除外したりするわけだが、的中率はこれまでに7.4ポイント増の68%まで上昇したという。CDSSにはこのほかにも、診断確定に必要な検査や、専門医による診察を提案する機能もある。
人工知能(AI)ベースの皮膚病の
早期発見ツールを開発するスタートアップ企業スキャンデルム(Scanderm)もモスクワの企業だ。同社によると、2015年の創業以来、◇6種以上の技術を駆使して皮膚の変化を監視するポケットサイズの機器◇6つの皮膚病の発見を支援するオンラインサービス(精度:90%強)◇悪性黒色腫(メラノーマ)を見分けるアルゴリズム(蘭スキンビジョンより高精度)◇医師向けの診断ツール――などの開発に成功した。独バイエル、英グラクソ・スミスクライン(GSK)、仏サノフィなどの医薬品大手と提携しており、世界120カ国に100万人のユーザーがいるという。
これまでに国内外で12の賞を受賞しており、最近では昨年11月、韓国政府の支援するアクセラレーションプログラム「Kスタートアップ・グランド・チャレンジ2021」で3位に入った。欧州技術開発連合会(アライアンス・テック)の共同発起人で起業家のメンターとして活躍するアレックス・コシク氏は、同社の「入賞はもっとも」とみる。というのも、AIベースのCDSSは、がんの有無を見分けるだけでなく、メラノーマ以外の基底細胞がん、扁平上皮がん、メルケル細胞がんなども区別できなくてはならないからだ。