●仮想アシスタントが95%の精度で受注をこなす
●ファーストフード業界での同システムの大規模導入はこれが初
米ファーストフードチェーンのチェッカーズ・アンド・ラリーズが、イスラエル新興企業ハイオート(Hi Auto)のドライブスルー受注用仮想アシスタントを導入する。人工知能(AI)を駆使した音声認識技術で自然な言葉遣いを理解し、95%の精度でキッチンへ注文を送ることができる。人手不足を緩和するほか、顧客単価の上昇にもつながると期待される。
ハイオートの音声認識技術は、自動車に乗った客の話し言葉が理解できるように開発された。人工知能(AI)ベースの仮想アシスタントは、注文を受付け、その内容を理解し、関連商品(クロスセル)や上位商品(アップセル)を人間の声で薦められる。複雑なメニューを覚え、客が尻切れ文で注文しても理解できる。顧客の細かい希望も理解し、途中で頼むものが変わっても対応できる。その精度は95%という。
ハイオートでは、自社システムの導入が米国外食産業の深刻な人手不足を緩和するとみる。また、人間の従業員に比べ、関連商品を薦める頻度が7倍高く、顧客単価の上昇・売上拡大につながると利点を強調する。
受注アシスタントはSaaSベースで提供する。チェッカーズ・アンド・ラリーズは全米で900店舗強を展開するが、直営店のすべてとフランチャイズ店の多くにハイオートのソリューションを導入する。これによる売上高は数百万ドルに上るとみられている。
ハイオートは2019年の創業。本拠をテルアビブに置き、40人を雇用する。これまでに800万ドルの資金を集め、年内にシリーズA調達を実施する計画だ。ロイ・バハラヴ最高経営責任者(CEO)によると、ファーストフード業界で仮想アシスタントが受注業務に大規模に導入されるのは同社のソリューションが初めて。
ハイオートによると、米ファーストフード業界で十指に入る大手のうち2社がハイオートの自動受注ソリューションを試験導入している。米ファースト市場規模は推定3,000億ドルで、うち最大80%がドライブスルーサービスを提供する店舗で占められている。