●大がかりな設備がなくてもシミュレーション訓練が可能に
●ハイテク産業従事者の訓練効率を大きく向上させるもの
ロシアの国営ハイテク企業ロステックは17日、複合現実(MR)技術を利用した新型シミュレーターの試作品を発表した。同シミュレーターは実物と仮想的な物体を組み合わせて現実に限りなく近い環境を現出させるもので、生産現場や航空宇宙産業、原子力産業などでスタッフの訓練を行う際に活用することが想定されている。
開発したのはロステック傘下のルスエレクトロニクス。同シミュレーターでは訓練参加者の動きを捕捉し評価することができるほか、使用中の機器の状態を監視することも可能になっている。シミュレーターの利用者は専用のゴーグルや手足の動きをとらえるセンサー、動作用コンピューターを入れたリュックサックを装着する必要があるものの、基本的には制限を受けず自由に活動できる。
訓練中は参加者の装着したデバイスを通して位置の把握や動く物体と静止物の探知をしたり、教育係の端末にデータを送信することでモニタリングを行う。得られたデータをもとに基準となる動作と比較し、訓練の成果を評価する。
ルスエレクトロニクスによると、同社のMR技術を使うことで仮想世界での体験を限りなく自然なものとし、ハイテク産業の従業員の訓練の効率を大きく向上させることができる。今後はテストを繰り返した上で製品を市場投入していく予定だ。
開発はルスエレクトロニクスのリャザン無線機工場でERAテクノポリスと共同で行われている。ERAテクノポリスは2021年に黒海沿岸のクラスノダール州アナパに国防省の指示で開設された特区で、航空宇宙、IT、気象、地理などに関連する国防関連企業が移転を進めている。