●総工費は2億2,000万ユーロ、アゼルバイジャン産ガスを輸入
●ブルガリアは露ガスプロムとの供給契約を更新しない方針
ブルガリア政府は21日、同国とギリシャを結ぶ天然ガスパイプライン「インターコネクター・ギリシャ・ブルガリア(IGB)」が今年6月末に完工する見通しであることを明らかにした。ペトコフ首相によると、9月にはアゼルバイジャン産の天然ガスの輸送が開始される予定。両国を相互に結ぶIGBの建設はこれまでブルガリア側の事情により遅れていたが、政府は早期の完成を目指す意向だ。
IGBはギリシャのコモティニとブルガリアのスタラ・ザゴラを182キロメートルのパイプラインで結ぶプロジェクトで、総工費は2億2,000万ユーロ。開通すると、ギリシャからブルガリアへ年最大30億立方メートルを輸送できようになる。建設には国営エネルギー企業のBEHとギリシャのガス会社DEPA、イタリアのエジソン(EDNn.MI)が参加している。当初2020年末の完成が予定されていたが、当時のボリソフ政権下で行政手続き上の理由から進まずにいた。
すでにブルガリアはアゼルバイジャンとの間で10億立方メートルのガスを輸入する契約を交わしている。同国の年間ガス消費量は30億立方メートル。現在はロシア国営ガスプロムから供給を受けているが、政府は2022年末の契約終了をもって打ち切る方針だ。
国営ガス会社ブルガルガスによると、ロシアからの輸入が止まる2023年以降も十分な供給量が確保できる見通し。IGBの建設が再び遅延した場合にもアゼルバイジャンとの供給契約に従い全量を購入できるとしている。
ブルガルガスはまた、調達先の多角化を図るため液化天然ガス(LNG)の輸入開始を計画している。その場合にはギリシャが持つ2つのターミナルとトルコにある5つのターミナルを利用する予定だ。