●通年のプラチナ需要は前年比16%増の見通し
●パラジウム生産首位のロシアは2020年、世界の43.8%を占めた
自動車の排ガス触媒向けの需要でパラジウムからプラチナへのシフトが加速している。コスト削減などを理由に以前から切り替えが進んでいたが、世界トップの生産国であるロシアがウクライナ侵攻に伴い厳しい制裁を受けていることを踏まえ、各社とも調達リスク削減に動いているもようだ。
カナダに本部を置くプラチナメーカーの利益団体、世界プラチナ投資協議会(WPIC)によると、1-3月期(第1四半期)の自動車業界需要は、部品不足や中国のゼロ・コロナ政策、ウクライナ戦争によるサプライチェーンの混乱という逆風が吹いたにも関わらず、前年同期並みの72万5,000オンス(20.6トン)を記録した。
通期では、◇小型車生産の増加◇排ガス規制強化による1台当たり使用量の増加◇ガソリン車向け触媒におけるパラジウム代替需要の増加――により、需要が前年実績を16%上回る見通しだ。
プラチナ生産でも世界2位だが、シェアは13.4%にとどまっている。
第1四半期のプラチナ生産はウクライナ戦争とそれに伴う欧米などからの制裁を受けて、前年同期比の18万4,000オンス(5.2トン)から16万3,000オンス(4.6トン)へと、11.4%減少した。