独軍需大手ラインメタル、ハンガリーでデジタル戦闘システム開発の合弁設立

●IT大手4iG、国営防衛企業HM EIとの3社合弁

●中東欧のNATO加盟国の軍隊のデジタル化を支援

独軍需大手ラインメタルは16日、軍の戦闘任務支援に向けたデジタルソリューションの開発で、ハンガリーのIT大手4iG及び国営防衛企業HM EIと合弁会社を設立することで合意した。4iGがブダペスト証券取引所に提出した書面によると、出資比率はラインメタルが51%、4iGが39%、HM EIが10%。3社は協力し、ハンガリーを含む中東欧の北大西洋条約機構(NATO)加盟国の軍隊のデジタル化に参加していく。

合弁会社は今年後半に事業を開始する予定。軍の全般的なデジタル化をはじめ、陸・空軍の兵員向けの戦闘地域及び師団レベルでの訓練用シミュレーションシステム、軍の総合的な情報運用システムである「C4ISTAR」のための装備を供給していく。

3社はそれぞれ、ラインメタルが装備のほか軍事能力、シミュレーション、指揮・管理システムなどに関するノウハウを、HM EIは防御用のIT及びインフラサービス、戦術面での戦闘管理法、システムインテグレーションを、4iGはIT・通信技術、サーバー防御及びその開発能力、ソフトウエア開発能力を提供する。

ラインメタルのパッペルガー最高経営責任者(CEO)は、新会社は国防産業のデジタル戦略に不可欠なもので、ハンガリーと中東欧諸国の軍隊のデジタル化に向けた戦略的な努力を支援しNATOの相互運用性を高めていくと話した。

4iGのヤーサイ氏は、ラインメタルと協力することで国防産業のデジタル化という戦略的に価値のあるビジネス分野に参入することになるほか、海外市場への進出や技術移転が促進されると述べた。HM EIのマロート社長は、現代的なITによる指揮・管理技術に関する基盤を国内に持つことは、地政学的な現状を考えると戦略的な重要性を持つとの見方を示した。

ラインメタルは今年1月、4iGの株式25%を取得することで合意し、長期的な関係の構築に乗り出していた。

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