●政策金利3.75%、上げ幅は予想を上回る0.75ポイント
●金融引き締めを急いで物価上昇加速に対応する姿勢が明確に
ルーマニア中央銀行は10日、政策金利を3.75%に引き上げた。利上げは10月以来、6回連続。上げ幅は大方の予想を上回る0.75ポイントとなり、金融引き締めを急いで物価上昇加速に対応する姿勢が明確になった。ただ、財政赤字と経常赤字が大きいことから判断は慎重で、ポーランド、ハンガリー、チェコなど他の東欧諸国に比べると金利水準は低い。貸出金利と預金金利は、それぞれ4.75%、2.75%となり、政策金利と同様、0.75ポイント上昇した。
中銀は今後のインフレ率の推移について、ウクライナでの戦争が供給に混乱をもたらし、1ケタに低下するのは来年下半期になるという見方を示した。3月のインフレ率が過去17年で最高の10.15%を記録したのを受け、12日には今年のインフレ予測を従来の9.6%から12,5%へ上方修正した。政府はインフレ抑制に向けてエネルギー料金の助成措置をとっているが、ウクライナ戦争の影響が加わり、現状では「焼け石に水」となっている。
隣国ウクライナにおける戦闘は、ルーマニア経済にとって大きな打撃だ。サプライチェーンの混乱やエネルギーコストの高騰が、国内経済、個人消費の足かせとなっている。今年は経済成長のペースが大きく低下する見込みで、アナリストの中には一時的にマイナス成長に陥るとみる意見もある。