●調達価格は他の欧州諸国の3分の1前後にとどまる予想
●セルビアはEUの対ロ制裁参加を拒否している
セルビアのアレクサンデル・ブチッチ大統領は5月29日、ロシアのプーチン大統領と電話会談し、天然ガス調達契約を3年更新することで合意したと発表した。数日以内に輸入量など詳細を詰め、今月、ラブロフ外相がセルビアを訪問するのに合わせて契約に調印する。調達価格は他の欧州諸国の3分の1前後にとどまる予想で、セルビアが欧州連合(EU)からの圧力にも関わらず、親ロ的スタンスを明確にしてきたことが低価格に寄与したとみられている。
ブチッチ大統領によると、天然ガスの購入価格は従来同様、石油価格や調達量に連動するという。しかし、1,000立方メートル当たりの予想価格は340~350米ドルで、親欧路線をとるモルドバが4月に払った2,000ドル弱の約17.5%に過ぎない。他の欧州諸国と比べても3分の1前後だ。
ブチッチ大統領は、ウクライナ侵攻に関連するEUの対ロシア制裁参加を拒否し、ロシアとの提携を維持強化する姿勢を示してきた。EUは、このようなセルビアの動きが加盟候補国として許されないものだという考えを明確化しつつある。
セルビアは2008年に国内の石油・ガス会社をロシア企業に売却した。以来、ガスプロムグループが国内で唯一の石油会社とガス貯蔵会社の過半数株を握っている。