●「ウクライナ戦争が終わり、物価上昇も鈍化する」と予想
●ディスインフレ効果が現れることを期待し据え置きを決定
トルコ中央銀行は5月26日の金融政策決定会合で、主要政策金利である7日物レポ金利を14%に据え置いた。金利据え置きは5会合連続。インフレ率が70%に迫る中、ウクライナ戦争が終わることで物価の上昇も鈍化するとの予想に立ち利上げを見送った。
同国のインフレ率は4月に69.9%となり、2002年2月(73.1%)以来の高水準を記録した。インフレ率の上昇は11カ月連続で、特に昨年11月からは上げ幅の合計が48.6ポイントと急拡大している。ウクライナ戦争が拍車をかける世界的なエネルギー価格の高騰と、通貨リラ安に伴う国内の食品価格の上昇が大きい。
中銀はインフレ率の上昇について、戦争の激化に伴うエネルギーコストの上昇や、金融政策の埒外にある供給側の要因、「経済の基礎的な条件を反映していない価格設定の一時的な影響」などによるものだと指摘。地域紛争の解決と、物価の安定に向けて講じる「断固たる」措置を背景にディスインフレ効果が現れることを期待し、金利据え置きを決めたと説明した。
今後については、インフレ率を5%程度とする中期目標が達成されるまで「利用可能なすべての措置」を取るとともに、長期にわたる投資活動や実体経済向けの融資を通じた信用拡大が財政の安定に重要だとし、金融システム全体のリスクを分析して政策対応を行うマクロプルーデンス政策を強化する従来の方針を繰り返した。