●インフレ率が70%を超える中、14%に据え置き
●ウクライナ戦争の終結により物価上昇も鈍化と期待
トルコ中央銀行は23日の金融政策決定会合で、主要政策金利である7日物レポ金利を14%に据え置いた。金利据え置きは6会合連続。インフレ率が70%を超えて進む中、ウクライナ戦争が終わることで物価の上昇も鈍化するとの予想に立ち利上げを見送った。
同国のインフレ率は5月に73.5%となり、1998年10月(76.6%)以来の高水準を記録した。インフレ率の上昇は12カ月連続で、特に昨年11月からの上げ幅の合計は52.2ポイントに達する。通貨リラ安に伴う国内の食品価格の上昇と、ウクライナ戦争が拍車をかける世界的なエネルギー価格の高騰、継続的なサプライチェーンの混乱が大きい。
中銀はインフレ率の上昇について、エスカレートする地政学的な緊張に伴うエネルギーコストの上昇や、金融政策の埒外にある供給側の要因、「経済の基礎的な条件を反映していない価格設定の一時的な影響」などによるものだと指摘。地域紛争の解決と、物価の安定に向けて講じる「断固たる」措置を背景にディスインフレ効果が現れることを期待し、金利据え置きを決めたと説明した。
今後については、インフレ率を5%程度とする中期目標が達成されるまで「利用可能なすべての措置」を取るとともに、金融システム全体のリスクを分析して政策対応を行うマクロプルーデンス政策を強化する従来方針の堅持を表明した。
「高金利がインフレを招く」を持論とする同国のエルドアン大統領は高インフレの中でも政策金利の引き下げに固執している。今月初めには「現政権は金利を引き上げない。逆に、今後も引き下げる」と言明しており、市場では中銀による金融引き締めは当面行われないとの見方が支配的だ。