●ブルガリアは天然ガス需要の9割以上をロシアに依存
●ギリシャはバルカン半島のエネルギー安全保障に貢献
ブルガリアとギリシャを結ぶ天然ガスパイプライン「インターコネクター・ギリシャ・ブルガリア(IGB)」の開通式が8日、執り行われた。4月にロシアからの天然ガス供給がストップしたブルガリアにとって、主な代替調達ルートになる。ギリシャは、ロシア・ウクライナ戦争によるエネルギー市場の混乱のなか、南北を結ぶエネルギー供給路としてバルカン半島のエネルギー安全保障に貢献したい意向だ。
ブルガリアは、ガス代金をロシア通貨ルーブルで決済するよう求めるロシアの要求を拒否したため、4月下旬にロシアからの天然ガス供給が止められた。それ以前から、ロシアに需要の9割以上を頼る状況の是正に向けて、ギリシャ経由の調達実現に取り組んでおり、今回開通したIGBはそのプロジェクトの大黒柱といえる。
全長182キロメートルのIGBはギリシャのコモティニとブルガリアのスタラ・ザゴラを結ぶ。当初の輸送能力は30億立方メートルで、将来的に50億立方メートルへの拡大が可能だ。以前の発表によると、IGBの建設費は2億2,000万ユーロに上る。
ブルガリアはすでに需要の3分の1に当たる10億立方メートルの調達でアゼルバイジャンと契約を結んでいる。数週間後には、IGBを経由して本格的に輸入できるようになる。
ギリシャは、カスピ海・東地中海南部の化石資源をバルカン半島諸国に輸送するハブ基地としての地位を確立したい意向だ。エジプトの再生可能エネルギーを輸送することも視野に入れている。