リトアニアのSaaSデータサービス企業、65万ユーロを調達

●欧州事業拡大と、オープンバンキング分野への進出を計画

●同社は中小企業によるデータ活用の支援ソリューションを提供

オープンデータ・プラットフォームを開発運営するリトアニアのオクレド(Okredo)はこのほど、65万ユーロの資金調達に成功したことを明らかにした。獲得した資金で英国など欧州全域に事業を拡大すると共に、企業のリスク調査などに利用できるオープンバンキングの分野にも進出する計画だ。今回の資金調達にはリトアニア・ビジネス・エンジェル・ネットワーク、プレスト・ベンチャーズ、ライトハウス・ベンチャーズが応じた。同社は昨年にも100万ユーロの調達に成功している。

2015年設立の同社は中小企業を対象に、SaaS(サービスとしてのソフトウエア)としてデータを利用できるようにすることで、取引先や提携先を開拓する機会を提供している。同社のプラットフォームを経由することで、取得に時間がかかったり、複数のソースに散らばっているデータの統合を容易に行うことができる。

欧州連合(EU)は「オープンデータ・公共部門の情報再利用に関する指令」を通じ、加盟国に対し政府部門のデータへのアクセスを拡大するよう求めている。こうした動きは中小企業がデータを事業に利用する機会を増やすと見られる一方、データの取得や解釈に関する知識の欠如、信用リスク管理に投ずる資金不足などにより、中小企業のデータ利用が妨げられる可能性も指摘されている。オクレドはこれを踏まえ、データへのアクセスが容易になり、リスクの低減も可能になるプラットフォーム運営を目指している。

オクレドは昨年からバルト3国でプラットフォームの展開を開始し、すでに1万7,000のユーザーと3,000の企業を顧客に持つ。オープンバンキングに基づくシステムではキャッシュフローなどの財務指標が分類されており、取引先や投資家、信用機関と年間を通して共有することで企業の意思決定を迅速化することが可能だ。業績が悪化した場合にも借入政策の変更などを行うことで問題を素早く解決できる。同社は企業の内部でも、自社の最新データを使い事業運営の手法を改善したり、事業プロセスのスピードの向上につなげることができるとしている。

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