●サーイパーはルノー車の生産にロシア製エンジンを導入
●欧米の対ロ制裁に伴い、露とイランとの取引の障害は無く
イランの自動車メーカー、サーイパー(SAIPA)が露アフトワズからエンジンを調達する。露ウェブ専門紙『auto.ru』がこのほど報じたもので、ロシア製エンジンを導入することで仏ルノーのモデルの生産を再開する計画だ。一方のアフトワズは欧米の経済制裁で打撃を受ける中、イランとの協力を通して生産の継続を図る。
サーイパーは同社が生産するルノー系列の中型車「ダチア・ロガン」にアフトワズの「ラーダ・ラルガス」のエンジンを搭載する。「ダチア・ロガン」はサーイパーのモデル「L90トンガル」として販売されてきた。
ロシア同様に欧米諸国の経済制裁下にあるイランの自動車メーカーは部品調達などの困難に直面してきた。米国の前トランプ政権が2018年に制裁措置を導入して以降、ロシア企業もイランの自動車メーカーに対する部品供給を躊躇してきたが、ロシアへの制裁導入に伴いイランとの取引に対する障害はなくなっている。
今年8月末にはイラン最大の自動車メーカー、イラン・ホドロ(IKCO)が複数の車両のロシアでの販売を開始した。IKCOは2007年から09年にかけてロシアで車両を販売していたことがある。当時の車両はプジョーの80年代のモデル「405」をベースとする「サマンド」などの古い車種で、冬季の走行に問題があった他、部品の品質にも課題があり販売実績は振るわなかった。
同社は欧州やアジアの自動車メーカーがロシアでの販売を拡大した2000年代以降、ラインナップを拡充するなどして対応してきた。その中にはPSAグループのプラットフォームを利用した小型クロスオーバーモデル「リラ」が含まれる。