●差し当たり6カ月間、連邦ネットワーク庁が管理
●独国内の製油能力に占めるRDGの3製油所の割合は12%に上る
ドイツ政府は16日、ロシア国営石油会社ロスネフチの独子会社2社を信託統治下に置いた。対露制裁の関係でロスネフチ傘下の独製油所を運営できなくなり、石油製品の国内供給に支障が出る恐れがあることから、差し当たり6カ月間、連邦ネットワーク庁が管理する。政府は露国営天然ガス会社ガスプロムの独法人をすでに信託管理下に置いており、ロスネフチの独子会社は2件目となる。
今回、信託管理下に置かれたのはロスネフチ・ドイチュラント(RDG)と、RNリファイニング・アンド・マーケティング(RNRM)。RDGが持つ3製油所も連邦ネットワーク庁の管理下に入った。
欧州連合(EU)は6月、ウクライナに軍事侵攻したロシアに対する追加制裁措置として、ロシア産石油の輸入禁止を決めた。ドイツはこれを受け、ロシアからの石油輸入を来年1月1日から停止することになっている。
同制裁が発動されると、RDG傘下の製油所はロシア産原油を使用できなくなる。ロスネフチはこれら製油所で使用する原油を非ロシア産に改める考えがないことから、3製油所は来年1月以降、操業をできなくなる恐れがある。
ドイツ全体の製油能力に占める3製油所の割合は12%に上るため、操業停止に追い込まれると、国内の石油製品供給が不足する懸念がある。政府はそうした事態を避けるために信託管理に踏み切った。調達先はロシア以外に切り替える意向だ。
ただ、独東部のシュヴェットにある製油所はこれまで「ドルジバ(友好)パイプライン」経由でロシア産石油の供給を受けてきたことから、制裁で同パイプラインからの供給を受けられなくなると、業務を行えなくなる恐れがある。政府はこれについて、代替ルートを確保して対応する意向を表明した。