●同業界は輸入品への依存度が高く、代替品開発は容易ではない
●対ロ制裁の効果は回避の道があるため30~40%にとどまる
ロシアで副財相、中銀副総裁を務めた経歴のあるオレグ・ビュギン氏が先ごろ、ウクライナ戦争をめぐる対ロシア制裁が緩和されない限り、ロシアの技術開発が減速するという見方を示した。テクノロジー産業は輸入品への依存度が高く、代替品を国内開発するのに大きなリソースが必要となるからだ。
また、制裁の経済への打撃については、ロシアが影響を回避する道を見つけ出したため、制裁の効果が30~40%にとどまっているとコメント。それでも、ウクライナ侵攻前に「経済が5~6%成長するとみられていたのが4%縮小した」ことをみれば効果が出ていることは確かと分析した。
ロシアの経常収支は今年1-8月期に1,831億米ドルの黒字となり、前年同期の3倍に拡大した。資源価格の高騰で輸出高が急増したのに加え、制裁に阻まれて輸入高が落ち込んだためだ。ビュギン氏によれば、いまのところ輸出高の拡大が国内総生産(GDP)の減少を食い止めている格好だが、これが縮小すればGDPの足を引っ張り、経済が「景気後退局面に移動する」のは避けられない状況だ。
ブリュッセルに拠点を置くシンクタンクのブリューゲルも、制裁対象品目の輸入減が顕著で、その影響が今後、顕在化すると予想している。その一例としては、フラッグキャリアのアエロフロートが航空機の交換部品不足で運航便数を減らしていることがあげられる。
プーチン大統領はGDPが今年2%減少すると予測する。これは経済省の3%減よりもさらに楽観的だ。世界銀行は4月に11.2%減を予測している。