2022/10/19

総合・マクロ

露トルコ首脳会談、露大統領はトルコを天然ガスのハブにと提案

この記事の要約

●「欧州向けパイプラインの新設も検討可能」=プーチン大統領●ウクライナとの停戦は議題に上らずロシアのプーチン大統領は13日、訪問先のカザフスタンの首都アスタナでトルコのエルドアン大統領と会談し、トルコを欧州向けのロシア産 […]

●「欧州向けパイプラインの新設も検討可能」=プーチン大統領

●ウクライナとの停戦は議題に上らず

ロシアのプーチン大統領は13日、訪問先のカザフスタンの首都アスタナでトルコのエルドアン大統領と会談し、トルコを欧州向けのロシア産天然ガスのハブとすることを提案した。同国にはすでにロシア産ガスを欧州に運ぶ「トルコストリーム」パイプラインがあるが、プーチン大統領は「欧州に供給するための新たなパイプライン敷設も検討できる」と述べ、冬場を前にガス不足への懸念が高まる欧州に対し揺さぶりをかけている。

同大統領はまた、トルコがガスの価格を決定できるようにするため同国に天然ガスの取引市場を設立することも提案した。

トルコストリームは黒海とトルコを経由してブルガリアに至るパイプラインで、現在も一定量のロシア産ガスを欧州に運んでいる。プーチン大統領は、同国経由でより多くのガスを欧州に送れる可能性があるとしたうえで、現時点ではこれが「最も安全な供給ルートだ」と述べた。

天然ガスの欧州向けパイプラインを巡っては、バルト海を経由してロシアとドイツを結ぶ「ノルドストリーム」の損傷により、ロシア産ガスの供給停止が長引く恐れが高まっている。欧州連合(EU)は天然ガス需要の約40%をロシアに依存してきたが、ウクライナ戦争の勃発を受けて同国からの輸入量は例年に比べ半分程度に縮小している。

一方、エルドアン大統領は、トルコを通じて輸出するロシア産の穀物と肥料を「発展途上国」に供給する協定を結ぶことを提案した。国際連合とトルコの仲介により7月以降、ウクライナ産穀物の輸出は再開されたが、同大統領は物資の大半が裕福な国に送られていると指摘している。

同大統領は2月にロシアの軍事侵攻が始まって以来、プーチン大統領との良好な関係維持に努めてきた。今回の対談でも両国の協力について「一部の国を憤慨させるだろうが、途上国は間違いなくより幸せになる」と述べ、対ロ制裁で結束する欧米とは一線を画す姿勢を明確にした。

エルドアン大統領はかねてより、中立の立場のトルコを介してウクライナとロシアの停戦を実現することは可能だと主張しているが、今回の会談で同問題は議題に上らなかったという。