2022/12/14

自動車

存在感を増す中国車、ロシア市場でシェアを拡大

この記事の要約

●日欧米のブランド撤退で生じた市場の空白に浸透●低価格帯はロシア車、西側車の価格帯は中国車で住み分けロシアの自動車市場で中国ブランド車の存在感が高まっている。ウクライナへの軍事侵攻を受けて日欧米の自動車メーカーが同国事業 […]

●日欧米のブランド撤退で生じた市場の空白に浸透

●低価格帯はロシア車、西側車の価格帯は中国車で住み分け

ロシアの自動車市場で中国ブランド車の存在感が高まっている。ウクライナへの軍事侵攻を受けて日欧米の自動車メーカーが同国事業から撤退する中、間隙を突いて市場に浸透している形だ。8日のロイター通信によると、中国車のシェアは3分の1を占めるまでに伸びている。

ロシアの新車販売(乗用車・小型商用車)は前年比で60%以上減少している。一方、同国の自動車業界調査会社オートスタットによると、中国車の販売台数は11月に1万6,138台となり、1月の8,235台からほぼ倍増した。市場シェアは9.6%から31.3%に急拡大しており、特に奇瑞汽車(チェリー)、吉利汽車(ジーリー)、長城汽車(GWM)傘下のハバルといったブランドが売れている。

ロシアの自動車アナリスト、ウラジミール・ベスパロフ氏は、西側ブランドの車はほとんど流通しておらず、「市場はロシアと中国のブランドに分かれている」と指摘する。ロシア車は約150万ルーブル(2万3,000ユーロ)以下の低価格帯に強く、中国車は従来の西側車の価格帯だった250万ルーブル(3万8,000ユーロ)以上の市場を侵食している。

中国車の影響力は販売だけにとどまらない。撤退したルノーの工場でこのほど生産が開始されたロシアの国民車「モスクビッチ」の3代目モデルは江淮(JAC)のコンパクトSUV「S4」をベースにしており、部品の大半を中国から輸入している。

ベスパロフ氏は、経済状況が変わらない限りモスクビッチを含む中国系のブランドは来年の国内販売の約35%を占める可能性があるとみる。(1RUB=2.17JPY)

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