●輸入に依存する電解技術は10年以内の内製化を目指す
●太陽光発電は35年までに設備容量5万2,900MWに達する見込み
トルコ政府はこのほど発表した水素計画のロードマップで、2035年までにクリーン水素を1キログラム当たり2.4ドルで生産する計画を明らかにした。同年までに二酸化炭素(CO2)排出量の正味ゼロを達成する目標に沿ったもので、50年までに同金額を半分に下げることを目指す。
製造に必要な電力は主に同国で盛んな太陽光発電で賄う。電解槽は当面、輸入に頼るものの、今後10年以内に国内で電気分解技術を確立するため投資を行う。
英オックスフォード・エネルギー研究所(OIES)のグルミラ・ルザエワ上席客員研究員は、10年前までトルコは太陽光発電技術を100%輸入していたが、今日では最大90%を内製化しており、水素技術に関しても同様のことが言えると指摘する。OIESによると、同国は供給ガスへの水素の混合割合を2030年までに2%から5%とし、その後40年までに10%、50年までに20%へと引き上げていく。
一方でルザエワ氏は、トルコの水素戦略にとり欧州連合(EU)の政策の不確実性が障害になりうるとの見方を示す。「ビジネスの観点からは、数年後に市場がどうなるかは非常に不透明だ。水素生産への投資には多くのリスクがあり、トルコが将来的な全体像を描くには時間がかかる」と説明する。
水素の有無にかかわらず、トルコは太陽光発電を増大させる方針だ。設備容量は2035年までに5万2,900メガワット(MW)に達する見込みで、エネルギー消費に占める再生可能エネルギー源の割合は20年の16.7%から35年には23.7%まで高まると予想される。