ウクライナ新興企業、数学のオンライン家庭教師サービスを米国で展開

ウクライナ人が創業したスタートアップ、ブライタリー(Brighterly)は米国の生
徒向けに数学のオンライン家庭教師サービスを提供している。1年生から12年生ま
でが対象で、料金は一般の家庭教師の半分。教師の審査を行うことで授業の質を維
持し、生徒一人一人の要請に応えられるカリキュラムを組む。
米国でサービスを始めた理由としてユヴヘン・カシュク最高経営責任者(CEO)
は、◇数学の能力が過去20年間で最低水準を記録し、学年で言えば2年ぐらい遅れ
ている◇教育を統括する国の機関がなく、全国共通のカリキュラムが存在しない◇
潜在顧客となる年齢層の人口が5,000万人と大きい◇数学は宣伝がしやすく、顧客
の困っていることが理解しやすい——を挙げている。
ブライタリーはロシアのウクライナ侵攻の3カ月前に創業し、MVP(必要最小限の製
品)のプロトタイプ完成まであと数週間という段階にあった。しかし、戦争が始
まったため、まずはキーウ(キエフ)から避難しなければならなくなった。混乱の
中で1カ月が経ち、自分たちの将来とブライタリーを守る闘いを始めたという。
現在では60人ほどの社員が、ウクライナ、ポーランド、英国、南アフリカなど、
様々な国に分散して働いている。当初、ウクライナ向けに数学の家庭教師サービス
を提供していたが、空襲警報が鳴り、ブラックアウトで電気が使えない状況のなか
で授業が著しく困難になった。
今では事業をグローバルに展開し、多くの地域に家庭教師を置く。米国内の時間帯
の違いに対応するため、フィリピンなどからも家庭教師を受け入れている。
ブライタリーの生徒は、個人に合わせたカリキュラムで授業を受ける。生徒が集中
し、やる気がでるよう、ゲームをベースにした教授法を採用している。
教師になるには試験、研修を受け、模擬授業を行わなければならない。模擬授業で
はチームの一人が「悪い子」を演じ、教師側がどう状況を切り抜け、授業を行うか
を確かめる。試験採用中は授業をモニターし評価する。教師はフィードバックを受
けるほか、経験豊かな先輩教師とのワークショップに参加して自らの能力を高め
る。良い授業を行えば評価システムで良い点がもらえ、新しい生徒が増えやすくな
る。フルタイム労働の機会も得られる。
授業を受ける生徒は、遅れを挽回したいケースと、同級生をリードできる学力をつ
けさせたい親が家庭教師を望むケースに分かれる。生徒は到達度だけでなく、どう
したらもっとできるようになるかを含めた評価を受け取る。
ブライタリーは今後、言語・読解能力でも家庭教師サービスを提供することを検討
している。

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