近年、コロナ危機の影響により従業員がホームオフィスにて業務を行う機会が増えてきました。ホームオフィスをすることで発生する費用の税務上の取り扱いについて、下記のように定められています。
■ホームオフィスの認可規定
そもそも現行の規定において、ホームオフィスに関わる費用を税務上考慮するには、業務上の事由で利用される「仕事部屋」が必要となります。さらに、この部屋がほとんど業務上の事由にのみ利用されていることが条件となっています。同じ部屋をプライベートで使用する割合が10%を超えた時点で、仕事部屋として認められなくなる可能性があり、この場合は、業務に関する割合で分割して考慮することもできなくなります。普段プライベートで使用している居間や寝室などに、業務用の「仕事エリア」を設ける場合においても税務上、ホームオフィスとして認められていません。
■ホームオフィスにおける業務費用の取扱い
仕事部屋が上記の認可規定を満たしている場合、業務費用の取扱いは更に以下の条件を基に区分されます。
a)ほぼすべての業務が自宅の仕事部屋で執り行われている
b)自宅の仕事部屋以外に業務を執り行う勤務地がない
a)の場合、仕事部屋に関わる費用(家賃、減価償却費、債務利息、光熱費、手数料、保険料、家具購入費など)を限度無く経費として控除することが可能です。
b)の場合は、仕事部屋に関わる費用を年間最大1,250ユーロまで経費として控除することが可能で、自宅での業務期間が一年に満たない場合であっても考慮することができます。条件として従業員に他の勤務地がないことを具体的に説明する必要がありますが、(例:雇用者からの証明書など)コロナ危機下においてはほとんどの場合、この条件を満たすことが可能となります。
■雇用者による使用料負担について
雇用者がホームオフィスにおける仕事部屋の賃料を負担する場合、その全額を経費として控除することが可能です。
■雇用者の都合に基づく仕事部屋の提供について
雇用者側の都合(雇用者が職場を提供できない、または第三者から業務用のスペースを賃借しなければならない場合等)で従業員が仕事部屋を有償で提供する場合、雇用者から従業員に支払われた賃料は賃貸収入に区分されます。この場合は、書面での賃貸契約が必要となります。
その賃貸によって長期的に利益が発生した場合、住居に関する費用も定期的に且つ上限なく、経費として控除が可能です。つまり、先に述べた仕事場に関する控除限度額は適用されず、全額が控除対象となります。
■従業員の都合に基づく仕事部屋の提供について
一方、雇用者より常に事務所などの職場が用意されているにも関わらずホームオフィスにて業務を行う場合は、ホームオフィスが従業員側の都合で行われているものと見なされます。このようなケースにおいて、雇用者がホームオフィスに関連する費用を負担した場合、賃金税及び社会保険料が対象となる給与所得となります。ホームオフィスに関わる費用を控除するためには、ほぼすべての業務が自宅の仕事部屋で執り行われているという条件を満たさなければなりません。