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2010/1/6

経済産業情報

化学業界、2010年は特殊・農業化学が堅調

この記事の要約

2009年の業界生産高が前年比で推定10.0%減少した独化学業界。2010年は5%増加し回復に向かうものの、独化学工業会(VCI)は工場の平均稼働率が80%を切り、平均的な水準の83~85%を依然として下回ると予想してい […]

2009年の業界生産高が前年比で推定10.0%減少した独化学業界。2010年は5%増加し回復に向かうものの、独化学工業会(VCI)は工場の平均稼働率が80%を切り、平均的な水準の83~85%を依然として下回ると予想している。そうしたなか、特殊化学と農業化学の2分野では比較的堅調な需要が期待できるもようだ。2日付『フランクフルター・アルゲマイネ』紙が格付け大手スタンダード&プアーズのアナリストの発言をもとに報じた。

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それによると、特殊化学は顧客の個別的なニーズに基づく製品を手がける関係で需要の変動が少なく、これが強みを発揮するという。独企業では液晶の世界最大手メルクや塗料添加剤のアルタナはこうした事情を背景に今年の勝ち組と目されている。BASFも特殊化学大手のチバや触媒大手エンゲルハードを買収した効果で他事業の不振がある程度、相殺されるもようだ。

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農業化学で好調が見込まれるのは、昨年、世界的に販売が大きく落ち込んだ反動で、需要の拡大が期待できるため。農家が2年連続でカリなどの施肥を抑制すると、収穫高が落ち込むという事情が背景にある。ドイツ企業ではバイエルクロップサイエンスやK+Sが好業績を期待できるようだ。

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一方、石油化学は回復の足取りが鈍くとどまる見通し。石油化学品の原料製造施設であるクラッカーを中東や中国の企業が相次ぎ新設した影響で、供給過剰に陥っている。

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