これまで右肩上がりの成長が続いてきたドイツの医療機器業界に景気後退の波が押し寄せてきている。独光学・医療・メカトロニクス産業連合会(Spectaris)のトビアス・ヴァイラー医療機器部会長は『フランクフルター・アルゲマイネ』に対し、2009年通期の業界売上高が前年比3%減の172億ユーロに縮小したとの見方を示した。国内向けは堅調に推移したものの、売り上げの6割以上を占める輸出が5~6%落ち込み足を引っ張った。
\ヴァイラー医療機器部会長によると、特に落ち込みが目立つのはロシアをはじめとする東欧だ。金融・経済危機のあおりで、病院建設などの大型プロジェクトが資金難に陥り相次いで延期・凍結に追い込まれている。また、輸出の2割を占める米国ではオバマ政権が取り組む医療保険改革の先行きが全く読めない不安感から機器の購入を先延ばしにする医療機関が増えているという。
\一方、成長市場のアジアや中東地域では需要の伸びが期待されている。Carl Zeiss Meditecのミヒャエル・カシュケ社長は同紙に対し、「過去数年間、これら地域の拠点や従業員確保に先行投資してきた企業はその苦労が報われるだろう」とコメントした。
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