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2010/1/13

ゲシェフトフューラーの豆知識

大雪でも遅刻は遅刻

この記事の要約

週末(1月9、10日)のドイツに大雪をもたらした低気圧デイジー。空の便の欠航や列車の運休・遅れ、道路での車の立ち往生など様々な影響が出た。月曜(11日)の朝は道路に連日の雪がかなり積っており、多くの企業で遅刻者が出たよう […]

週末(1月9、10日)のドイツに大雪をもたらした低気圧デイジー。空の便の欠航や列車の運休・遅れ、道路での車の立ち往生など様々な影響が出た。月曜(11日)の朝は道路に連日の雪がかなり積っており、多くの企業で遅刻者が出たようだ。

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さて、こういう場合、遅刻はやむを得ないものとして法的に認められるかと言うと、さにあらず。本誌の2009年2月11日号でお伝えしたように、ドイツには「通勤途上のリスク(Wegerisiko)」は被用者の責任という原則があり、被用者は始業時間に勤務先にいなければならないのである。また、今回の大雪は金曜日(8日)から続いていたうえ、テレビやラジオでも連日大々的に報じられており、通勤時間が普段よりも長くなることはあらかじめ予想できたため、情状酌量の余地はない。

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雇用主は遅刻した社員に対し遅刻した分の賃金を差し引く、あるいは居残り勤務を命じることができる。また、これとは別に警告処分を出すことができる。

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遅刻の警告が度重なれば解雇も可能になる。社員によっては「遅刻による業務への支障は生じなかった」などと反論する者もいるかもしれないが、支障の有無にかかわりなく解雇できることは最高裁である連邦労働裁判所の判決(訴訟番号:2 AZR 147/00)で判例が確定済みだ。

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ただし、悪天候による遅刻が認められるケースもある。業界の労使協定や社内の労使協定で特例扱いされている場合だ。雇用主は一度、これら協定の中身を再確認しておいた方が良いだろう。

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労働法の専門家が『ヴェルト』紙に語ったところによると、◇道路の全面的な凍結が突然の出来事で事前に予想できなかった◇突発的な理由により近距離列車が運休となった――などのケースでも処分を免れる可能性が高いという。ただし、これらの場合でも◇携帯電話で速やかに会社に連絡を入れる◇電車の遅れの場合は鉄道会社から遅延証明書などを得て提出する――ことは被用者の義務である。

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