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2010/1/20

経済産業情報

独企業の3分の1が経済犯罪に遭遇=KPMG調査

この記事の要約

国際会計・コンサルティング大手のKPMGがドイツ企業300社を対象に実施したアンケート調査によると、過去3年間に経済犯罪の被害に遭った企業の割合は37%で、2006年調査の26%から11ポイントも増加した。企業の67%が […]

国際会計・コンサルティング大手のKPMGがドイツ企業300社を対象に実施したアンケート調査によると、過去3年間に経済犯罪の被害に遭った企業の割合は37%で、2006年調査の26%から11ポイントも増加した。企業の67%が「経済犯罪は今後も増加する」と回答。同問題を深刻に受け止めているとした企業も4年前の71%から80%に増えた。

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同調査によると、窃盗・横領、背任、贈賄などの経済犯罪が減少傾向にある一方、経済危機を背景にマネーロンダリングや粉飾決算の割合が増加している。マネーロンダリングは06年の5%から21%に、粉飾決算も6%から13%に急増した。財務分野での犯罪増加は企業犯罪が役員などのトップレベルにも広がっていることを意味する。

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ネット犯罪も23%から53%へと大幅に増えた。IT技術の進歩を背景に、従業員が自社の機密データを簡単にUSBスティックにコピーできるようになったことが大きい。

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KPMGは今回の調査結果から経済犯罪の年間被害増額が最大で200億ユーロに上ると試算。連邦警察庁(BKA)が発表した08年の被害総額34億ユーロは氷山の一角にすぎないとしている。

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今回の調査は対象企業の約半数が売上高5,000万ユーロ以下の中小企業だった。中小企業は雇用者と従業員の信頼関係を重視する傾向が高いため、経済犯罪の防止にかける費用は平均で約2万ユーロと少ない。大企業は犯罪防止に平均数千万ユーロを投じている。

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中小企業では内部告発による犯罪発覚率が大企業に比べて低いうえ、部外者との共犯率は大企業より高い。このため、KPMGは特に中小企業に対し適切な防犯措置を取るよう呼びかけている。(「目で見るドイツの経済・社会」を参照)

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