ドイツの企業には通常、事業所委員会(Betriebrat)という従業員の代表機関がある。労働組合が企業外部の組織であるのに対しこちらは企業内の一機関であるため、その運営に必要な経費は原則として会社負担となる。これは事業所体制法(Betriebsverfassungsgesetz)40条1項に明記された決まりであり、たとえ経営サイドと争った裁判の費用であっても会社側は引き受けなければならない。
\ただし、この原則が適用されない場合もある。労使問題の最高裁である連邦労働裁判所(BAG)は昨年7月、そうしたケースに当たる裁判で判決(訴訟番号:7 ABR 95/07)を下した。
\この係争は自動車部品メーカーの労使間で起きたもの。経営陣が業界の給与システムに従い従業員を各賃金グループに分類しようとしたのに対し、これに反発した事業所委員会が弁護士を通してこの措置の撤回、ないし裁判所での問題解決を要求した。雇用主が「従業員の分類で事業所委員会に共同決定権はない」としたため、両者の争いは裁判所に持ち込まれることになった。
\この問題が裁判所で解決したのち、事業所委員会は会社側に対し弁護士費用2万5,000ユーロを負担するよう要求。会社側がこれを拒否したため、裁判となった。
\BAGはこの裁判で事業所委敗訴の判決を下した。裁判官は弁護士費用を会社に請求できないケースとして、(1)事業所委員会の要求が裁判で認められる可能性が初めからない場合(2)争いを裁判所に持ち込むよりも雇用主の負担額が少なくて済む解決法が他にある場合――の2つを指摘。今回の争いは(2)に当たるとして、事業所委に対し弁護士費用を自己負担するよう言い渡した。
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