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2010/1/27

経済産業情報

指紋認証レジ、Reweが大型プロジェクトを実施

この記事の要約

大手スーパーのReweが指紋認証レジの大型プロジェクトを3カ月前から実施している。国内ではすでに店舗単位でこの種のレジを導入しているスーパーがあるものの、特定地区の全ての店舗で同一の指紋認証を利用できるシステムが導入され […]

大手スーパーのReweが指紋認証レジの大型プロジェクトを3カ月前から実施している。国内ではすでに店舗単位でこの種のレジを導入しているスーパーがあるものの、特定地区の全ての店舗で同一の指紋認証を利用できるシステムが導入されたのは今回が初めて。その分、厳しいデータ管理が要求されるが、Reweや業界団体はシステムの安全性を強調している。22日付『ヴェルト』紙が報じた。

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Reweは今回のプロジェクトで、ケルン近郊ヒュルト市の全店舗に指紋認証レジを導入した。約300人のテスト顧客がプロジェクトに参加している。

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顧客はまず、店内にあるターミナルで指紋をスキャンし、住所、銀行口座を登録。その後はプロジェクトに参加している店舗で支払いをする際にレジのスキャナーに指を乗せるだけで、代金が口座から自動的に引き落とされる。支払いにかかる時間はわずか7秒で、カード払いの12秒、通常の現金払いの20秒に比べ短い。

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Reweによると、指紋や指の特徴は数字コードに置きかえられて保存されるため、指紋が再現される可能性はない。また、指紋情報は顧客の身元、口座データとは別に管理される。さらに、スキャナーは生体(生きている指)を識別するため、指紋を写し取った模造品で支払いをすることは不可能という。独小売業中央連盟(HDE)も「100%安全ということはあり得ないが、認証番号(PIN)を必要とするカード払いと同じくらい安全だ」と太鼓判を押す。

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一方、地元ノルトライン・ヴェストファーレン州のデータ保護局は、指紋の模造品が出回るような恐れはないとしつつも、個人情報上のリスクは残るとして消費者に指紋データの安易な登録を控えるよう注意を促している。また、指紋認証レジが広く普及し、国民の大半が指紋を登録するようになった場合、データ保護上の法的な問題が生じるとの認識を示した。

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