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2010/2/24

総合 - ドイツ経済ニュース

公的健保の追徴にカルテル容疑、当局が捜査へ

この記事の要約

ドイツ連邦カルテル庁は22日、公的健康保険料の追加徴収を1月に発表した9組合に対し競争制限禁止法(独禁法)違反容疑で捜査を開始したと発表した。9組合にはすでに情報提出を命じる文書を送付しており、同庁は提出される文書をもと […]

ドイツ連邦カルテル庁は22日、公的健康保険料の追加徴収を1月に発表した9組合に対し競争制限禁止法(独禁法)違反容疑で捜査を開始したと発表した。9組合にはすでに情報提出を命じる文書を送付しており、同庁は提出される文書をもとに事実関係を解明する意向だ。一方、公的健保サイドは容疑を一蹴するとともに、公的健保はそもそもカルテル庁の管轄対象にならないと主張しており、両者の立場は隔たりが大きい。

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公的健保9組合は1月25日に共同記者会見を開き、保険料収入の不足を理由に早ければ2月にも追徴を実施すると発表した。ドイツでは公的健保の保険料率を政府が一律で定める制度が2009年1月から実施され、保険料収入が不足した組合には追加徴収が認められるようになった。

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9組合の追徴はこのルールに基づく措置だが、カルテル庁は追徴の決定とその発表で歩調を合わせた点を問題視。違法な談合に当たる可能性があるとみて審査を開始した。値上げ額が妥当かどうかの審査は他の当局の管轄となるため同庁は行わない。

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公的健保の頂点団体は『南ドイツ新聞』に対し、「料金追徴は健康基金から(各健保に)配分される資金の不足から生じる論理的な帰結だ」として談合容疑を明確に否定した。公的健保はまた、営利活動を行う企業と異なりカルテル法の適用を受けないとの立場を取っているため、今回の捜査はカルテル庁の権限をめぐる裁判に発展する可能性が高い。

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