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2010/3/10

企業情報

EADS N.V.―軍用機「A400M」の追加コスト問題、発注国と合意―

この記事の要約

欧州航空宇宙大手EADS(蘭スキポール)は5日、次期軍用輸送機「A400M」の追加コスト負担をめぐる問題で、発注7カ国と合意が成立したと発表した。7カ国は計20億ユーロを新たに引き受け、残りはEADSが責任を負うというも […]

欧州航空宇宙大手EADS(蘭スキポール)は5日、次期軍用輸送機「A400M」の追加コスト負担をめぐる問題で、発注7カ国と合意が成立したと発表した。7カ国は計20億ユーロを新たに引き受け、残りはEADSが責任を負うというもので、今後、各国議会の承認を経て本契約が成立する段取りだ。納機は当初予定より4年遅れの2014年に始まる見通し。

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EADSはA400Mを受注した際、技術と費用に関するリスクを全面的に引き受けることで合意していた。だが、これが大きな誤算となり、開発コストが膨張。同社はこれを受けてドイツ、フランス、英国、スペイン、ベルギー、トルコ、ルクセンブルクの7カ国に対し当初は57億ユーロを追加負担するよう要求し、受け入れられない場合は開発プロジェクトを中止するとの強硬な姿勢を示していた。その後の交渉で要求額が引き下げられ、今回の合意に至った。

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EADSは同プロジェクトの追加コスト負担で引当金をすでに24億ユーロ計上している。今回の合意に伴い新たに18億ユーロを積み増したため、09年決算の営業損益は3億2,200万ユーロの赤字に転落した(特別費計上前では22億ユーロの黒字)。ただ、同社のコスト負担はさらに膨らむ恐れもあるようで、監査法人プライスウォーターハウスクーパース(PwC)は追加負担額が18億ユーロを大きく超え最悪75億ユーロに達すると指摘している。

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