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2010/3/10

企業情報

Daimler AG―印Tataから資本撤退―

この記事の要約

自動車大手の独Daimler(シュツットガルト)が印同業Tata Motorsから資本撤退した。Tataとの提携を継続する意味が薄れていることや、保有するTata株を売却し省エネ技術や電気自動車の開発費を捻出したいという […]

自動車大手の独Daimler(シュツットガルト)が印同業Tata Motorsから資本撤退した。Tataとの提携を継続する意味が薄れていることや、保有するTata株を売却し省エネ技術や電気自動車の開発費を捻出したいという意向が背景にある。独メディアが8日報じ、同社が9日に追認した。

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Daimlerは欧州、北米、アジアの3極からなる「世界株式会社(Welt AG)」戦略を展開したシュレンプ前社長の時代にTataに資本参加した。出資比率は5.34%で、今回、資本市場を通して複数の投資家に売却し、約2億6,500万ユーロを確保した。

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Tataはインドをはじめとする新興国で需要を掘り起こすため2008年に世界で最も安い乗用車「Nano」を発売した。この戦略は高級車メーカーのDaimlerにとってはシナジー効果に結びつかないマイナス材料とみられている。また、Tataが◇高級乗用車ブランドの英JaguarとLand Roverを買収した◇伊Fiatと提携しFiat傘下の商用車メーカーIvecoとエンジンやトランスミッションの共同開発に乗り出した――ことはDaimlerとTataの関係を冷え込ませたもようだ。

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省エネ技術や電気自動車の開発には多額のコストを要する。Daimlerは経済危機の直撃を受けた2009年に26億ユーロ超の最終損失を計上したこともあり、資産を整理して資金をねん出する必要性がこれまでよりも高まっている。

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