ドイツ人が「父なる川」とたたえるライン川。スイスアルプスのトマーゼ湖に源を発しオランダのフーク・ファン・ホラントで北海にそそぐその長さは公式記録で1,320キロメートルとされているが、これが実は誤りであることが最近になって分かった。27日付『南ドイツ新聞(SZ)』が報じた。
\誤りを発見したのはケルン大学のブルーノ・クレーマー教授。生物学の研究でライン川の調査をした際、20世紀初頭の古い文献に記された川の長さが現在の公式の長さよりも約90キロ短いことに気づいたため、気になって自分自身で長さを計算したところ、公式記録にある1,320キロは明らかに誤りであることが分かった。
\今から百年前の辞典に記された長さはすべて1,230キロとなっている。これが1,320キロに変わったのは1932年に出版された『クナオルス百科事典』以降で、翌33年に出た『ブロックハウス』もこの誤りを踏襲しているという。それから77年経った現在まで、この問題を指摘する者は誰もおらず、誤りは放置されたままとなっていた。ちなみに同教授の計算によると、長さは1,233キロ±数キロである。
\どうしてこんな初歩的な誤りが起きたのは不明だ。SZ紙によると、百の位と十の位の数字を書き間違った可能性が高いという。
\クレーマー教授の指摘を受け、当局はライン川の計測を実施する意向だ。辞典や教科書の出版社も正確な数値が分かり次第、訂正するとしている。コブレンツにあるライン川博物館はすでに訂正したという。
\ちなみにオンライン百科事典「ウィキペディア」のドイツ語版では南ドイツ新聞の報道前に記述が改められた。同教授は報道に先立って専門的な小論を公表しており、これを読んだ誰かが新発見を書き加えたもようだ。日本語版のウィキペディアも時事通信の29日付報道を受けて書き換えられている。
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