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2010/3/31

経済産業情報

消費者向け融資、不景気でも増大

この記事の要約

ドイツにおける消費者向け融資の問い合わせ件数は、戦後最悪の不景気となった昨年、前年比で17%増加し、実際に結ばれた融資契約の数も10%拡大した。信用情報機関のSchufaが6,600万人のデータを基にまとめた調査『Kre […]

ドイツにおける消費者向け融資の問い合わせ件数は、戦後最悪の不景気となった昨年、前年比で17%増加し、実際に結ばれた融資契約の数も10%拡大した。信用情報機関のSchufaが6,600万人のデータを基にまとめた調査『Kredit-Kompass 2010』で明らかにした。1973年の石油ショックや2001年のハイテクバブルの崩壊では、問い合わせ数も契約件数も大幅に減少したが、今回の不況では逆の結果となった。世論調査機関のアレンスバッハが昨年夏に実施した消費者アンケート調査では、回答者の7割が経済危機の影響はないと回答しており、Schufaは不況でもローンが増加した理由を「経済危機が消費者まで到達しなかったため」と分析している。

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Schufaによると、昨年は政府の新車買い替え奨励制度や家電量販店が実施した無利子ローン・割引が消費者の購買欲を刺激し、消費者ローンの新規契約数を押し上げた。特に、新車買い替え奨励制度が導入された上半期の契約件数は前年同期比で20%も増大したという。

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一方、不良債権化した融資の割合は2.4%(83万件)にとどまり、07年の2.3%、08年の2.5%とほぼ同じ水準を保った。国民1人当たり(18歳以上)の借金額は8,382ユーロで、前年から126ユーロ減少している。

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Schufaは今年の消費者向け融資について、問い合わせが減少する一方で、過剰債務のリスクは高まると予想する。09年に自動車などの大型支出を前倒した結果、家計が悪化する世帯が増えるのが主な原因で、経済危機の直接的な影響は小さいという。アレンスバッハが昨年夏に実施した世論調査では、経済危機で生活が変わったと回答した人はわずか25%にとどまった。今年3月の最新調査では29%に上昇したものの、影響を受けていないとの回答は7割を占める。

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