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2010/3/31

経済産業情報

家庭向けガス料金と暖房油価格の連動は違法=最高裁

この記事の要約

独連邦裁判所(BGH、最高裁)は24日、暖房油価格の上昇を理由に一般家庭向けの天然ガス料金を自動的に引き上げることを違法する判決を下した。長い間の商習慣である石油価格と天然ガス価格の連動を禁止する判決は今回が初めて。ただ […]

独連邦裁判所(BGH、最高裁)は24日、暖房油価格の上昇を理由に一般家庭向けの天然ガス料金を自動的に引き上げることを違法する判決を下した。長い間の商習慣である石油価格と天然ガス価格の連動を禁止する判決は今回が初めて。ただ、判決は供給会社と世帯顧客の契約を対象としたもので、天然ガス生産業者と元売り会社が結ぶ卸契約に関しては一切言及していない。

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裁判の争点は地域エネルギー供給会社のRheinenergie(ケルン)とDreieich(フランクフルト近郊)が2005年にガス供給契約に盛り込んだ付帯条項。これら条項には暖房油価格が上昇した場合に天然ガス料金を自動的に引き上げることが明記されていた。裁判官は調達、販売、事務など他の分野でコストが削減された場合でも、暖房油価格との連動を理由にガス料金が値上げされ、供給会社が利益を上げるのは不当だと批判。「ガス料金は暖房油価格だけでなく、供給コストや送ガス網使用料などを反映させたうえで料金を設定すべきだ」との判断を示した。

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政界や消費者団体は今回の判決をガス市場の競争促進、ガス料金の透明化につながると評価。同じような付帯条項を採用しているガス供給会社にも効果が及ぶことに期待を示した。RheinenergieとDreieichの顧客は自ら請求した場合に限り、不当に値上げされたガス料金を取り戻せる可能性があるという。

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ドイツでは天然ガス料金を石油価格に連動させることが1960年代から商習慣となっている。当初は天然ガスの競争力を引き上げることが目的だったが、現在では住宅の48.5%がガス暖房を利用するなど、天然ガスの普及が進んでおり、同習慣を見直す時期に来ている。

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卸契約でも価格連動を見直す動きがあり、天然ガス世界最大手の露ガスプロムと独ガス元売り最大手エーオン・ルールガスは先ごろ、天然ガスの取引価格を原油価格に連動させる商習慣を部分的に改めることで合意した。

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