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2010/4/14

経済産業情報

マイクロ波で魚の鮮度測定が簡単に

この記事の要約

ブレーメンのスタートアップ企業Sequidが、魚肉の鮮度を簡単に計測できるレーザースキャナー「RFQ Scan 3.0」を開発した。誘電分光法と呼ばれる手法によって魚肉鮮度の判定指標であるK値やATP、トリメチルアミン( […]

ブレーメンのスタートアップ企業Sequidが、魚肉の鮮度を簡単に計測できるレーザースキャナー「RFQ Scan 3.0」を開発した。誘電分光法と呼ばれる手法によって魚肉鮮度の判定指標であるK値やATP、トリメチルアミン(TMA)などを数秒で測定するもので、解凍・再冷凍が繰り返されているか、重量水増しのために保水剤が使われているかといったことも調べられるという。

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RFQ Scan 3.0のベースになっているのは広域帯誘電分光法(Broadband Dielectric Spectroscopy)と呼ばれる技術。対象物の誘電率を周波数ごとに測定するもので、検体を構成する水などの分子数や運動性、相互作用が解析できることから、高分子や生体組織、食品の非破壊検査などの分野で研究開発および産業への応用が進められている。

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Sequid設立のきっかけとなったのは、欧州連合(EU)の支援を受けて実施された魚介類鮮度測定技術開発プロジェクト「Sequid」だ。同プロジェクトに参加した4人の研究者はプロジェクト終了からほぼ3年後の2007年3月に会社を設立。ハイテク起業家基金やベンチャーキャピタルから出資を受け、製品化に成功した。

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ただ、RFQ Scan 3.0は比較的高価なため、小規模の魚屋が購入する可能性は低い。Sequidの営業担当者は経済紙『ハンデルスブラット』の取材に対し「個人商店などはこれまで通り、自分の目と鼻を頼りに仕入れる魚を選ぶだろう」と指摘。システム導入のメリットが大きいのはFrostaやDeutsche Seeなどの大手シーフードメーカー・加工業者だと語った。「エビ1トンの輸入価格は約5,000ユーロ。もし生産側が保水剤を使って重量を10%水増しすれば、それだけで500ユーロを不正に儲けることになる。仕入れ側は(RFQ Scan 3.0で)そうしたトリックを見破り取引先の業者の質を見極められる」(同営業担当)という。

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