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2010/4/21

総合 - ドイツ経済ニュース

合同予測が独成長率を1.5%に引き上げ、「財政再建は2011年に再開を」

この記事の要約

ドイツ内外の有力経済研究所は15日、連邦政府に提出した『2010年春季合同経済予測』のなかで今年の独国内総生産(GDP)成長率を09年秋季予測の1.2%から1.5%へと上方修正した。大幅悪化が予想されていた雇用情勢が安定 […]

ドイツ内外の有力経済研究所は15日、連邦政府に提出した『2010年春季合同経済予測』のなかで今年の独国内総生産(GDP)成長率を09年秋季予測の1.2%から1.5%へと上方修正した。大幅悪化が予想されていた雇用情勢が安定的に推移していることが大きい。ドイツ産業連盟(BDI)のハンスペーター・カイテル会長も19日ハノーバー産業見本市で「世界経済の二番底と銀行の貸し渋り、燃料・原料価格の急騰がなければ2%超の経済成長も可能だ」と述べており、ドイツ経済は今後も回復軌道を進む公算が高い。

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戦後最悪の不況となった09年の失業者数は平均342万3,000人で、08年の326万8,000人からおよそ5%増加した。今年は企業が余剰人員の雇用を維持できなくなり労働市場が大幅に悪化すると予想されていたが、そうした兆候はこれまでのところ表れていない。『予測』はこれについて、操短制度と柔軟性の高い労使協定、長年続く緩やかな賃上げが効果を上げたと指摘。2010年は失業者数がわずかながら減少に転じるとの見方を示した。

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景気回復の筋道については、これまでのパターンと同様に輸出の拡大が起点となる見通しで、予測によると、輸出成長率は昨年のマイナス14.2%から今年はプラス7.1%好転、来年もプラス6.3%を確保する。外需の拡大は企業投資にも徐々に波及してくる。景気対策の効果で一般世帯の可処分所得が増えているため、個人消費の落ち込みは今年0.4%と小幅にとどまる。

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景気のリスク要因としては、銀行融資の抑制が挙げられた。全面的な貸し渋りは起きていないものの、企業の財務悪化や債務不履行、倒産の増加を受け、融資状況が悪化する恐れはなお消えていないという。

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危機対策で中断している財政再建に関しては「着手の時期が遅れれば遅れるほど厳しい措置が必要になる」(キール世界経済研究所の景気調査主任)として、2011年にも再開するよう強く要請した。具体的には日曜・祝日・夜間手当への税優遇廃止や付加価値税の軽減税率適用対象の大幅削減、公的健康保険料の引き上げなどを求めている。これらの措置によりGDP成長率が押し下げられることはあっても、マイナス成長に落ち込むことはないとしている。

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