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2010/4/14

経済産業情報

ドイツの周辺国が揚水発電投資を強化

この記事の要約

オーストリアやスイス、ノルウェーが揚水発電向けの投資を強化している。隣国のドイツで電力不足が生じた際に売電することが目的だ。『ハンデルスブラット』紙が3月31日付で報じた。\ ドイツ政府は総発電能力に占める再生可能エネル […]

オーストリアやスイス、ノルウェーが揚水発電向けの投資を強化している。隣国のドイツで電力不足が生じた際に売電することが目的だ。『ハンデルスブラット』紙が3月31日付で報じた。

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ドイツ政府は総発電能力に占める再生可能エネルギーの割合を2020年までに現在の16%から30%に引き上げることを目標に掲げている。だが、風が強い日や日照時間が長い日には風力発電や太陽光発電の発電量は増加するものの、風のない曇りの日が続けば発電量が大幅に減少し、電力不足が生じるという問題がある。

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一方、揚水発電は電力需要が少ない時間帯などに余剰電力を利用して下池の水を上池にくみ上げておき、需要が増加した時に水を下池に落として発電するしくみになっており、巨大な「蓄電池」の役目を果たす。このため、ドイツ国内でも揚水式発電所の建設が計画されているが、環境破壊を危惧する住民が建設に反対するケースが多いうえ、建設候補地も地理的に限定されている。

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これに対し、地理的条件に恵まれたオーストリア、スイス、ノルウェーでは水力発電が普及している。オーストリアでは現在、複数の揚水発電所が建設されており、計画段階のプロジェクトを含めると新規発電能力は2,000メガワット(MW)に上る。スイスでは1,600MWが建設中、1,350MWが計画中であるうえ、ドイツに電力を輸送するための送電網の拡張も進んでいる。ノルウェーは北海に海底ケーブル2本を敷設し、ドイツに電力を供給する計画だ。

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