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2010/4/14

経済産業情報

餃子解雇事件で和解合意

この記事の要約

老人ホームの入所者用給食の余りもの(餃子)を無許可で食べて昨年4月末に即時解雇された職員がその取り消しを求めて起こしていた係争で、原告と被告は3月30日、控訴審のバーデン・ヴュルテンベルク州労働裁判所の和解提案を受け入れ […]

老人ホームの入所者用給食の余りもの(餃子)を無許可で食べて昨年4月末に即時解雇された職員がその取り消しを求めて起こしていた係争で、原告と被告は3月30日、控訴審のバーデン・ヴュルテンベルク州労働裁判所の和解提案を受け入れることで合意した。和解が正式に成立した場合、即時解雇は取り消され昨年末日付の通常解雇扱いとなり、原告は老人ホームから和解金2万5,000ユーロ、給与の後払い金1万7,500万ユーロの計4万2,500万ユーロを受け取る。

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今回の係争では、原告が入所者用給食で余ったドイツ風餃子(マウルタッシェン)6個を無断で持ち去り、食したことが即時解雇を正当化するかどうかが争点となっていた。横領した餃子の価値は3~4ユーロに過ぎないものの、同ホームでは給食の残りを職員が食べることを文書で禁止しており、雇用主は原告に対し即時解雇を通告した。第1審のラドルフツェル労働裁判所は昨年10月、「雇用主と被用者の信頼関係が損なわれた」とする被告の訴えを全面的に認め、横領した物品の額が小さくても即時解雇を妥当とした最高裁(連邦労働裁判所=BAG=)の判決に従い、原告の訴えを退けた。

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一方、州労働裁判所の裁判官は「価値の低い物品の横領でも即時解雇の理由になるが、個々のケースを包括的に審査する必要がある」と指摘。今回のケースでは◇原告の勤続年数が17年間と長い◇58歳と高齢◇給食の余りものは廃棄処分される決まりになっており、職員が食べても雇用主に経済的な損失は生じない――ことを考慮した結果、即時解雇を正当化する十分な理由はないと判断した。

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原告と被告は5月初めまでに和解を取り消すことができる。その場合、係争が再開されることになる。

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