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2010/4/28

経済産業情報

揺れるカトリック教会

この記事の要約

カトリック教会が信頼喪失の危機に直面している。これまで隠されてきた聖職者による生徒の性的虐待や暴行が年初以降、次々と発覚。22日にはアウグスブルクのヴァルター・ミクサ司教が辞意を表明した。\ 今回の危機の直接のきっかけと […]

カトリック教会が信頼喪失の危機に直面している。これまで隠されてきた聖職者による生徒の性的虐待や暴行が年初以降、次々と発覚。22日にはアウグスブルクのヴァルター・ミクサ司教が辞意を表明した。

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今回の危機の直接のきっかけとなったのはベルリンにあるイエズス会系ギムナジウムの校長が今年1月、卒業生宛に送った書簡だ。そのなかには同校で働いていた神父2人が1970~80年代にかけて生徒に性的虐待を加えていたことが明記されていた。この事実がマスコミで報道されると、ドイツ内外にあるカトリック系の他の学校でも同様の出来事が起きていたことが被害を受けた元生徒の告発で次々と判明。また、ドイツ人法王のベネディクト16世自身が子供を性的に虐待した聖職者がいることに長年、目をつぶってきた疑いも強く、批判の目はカトリック教会の体質そのものにも向けられ始めている。

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アウグスブルクのミクサ司教は70~80年代にかけて養護施設の入所者に暴行を加えていた事実がマスコミ報道で発覚。当初は容疑を否認していたが、世論の圧力を受け後に認めた。その際の発言が言い訳がましかったうえ、教会系財団の資金を私的に流用した疑いも強まっており、信者や政治家から辞任要求が出ていた。

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これら一連の事件を受け、カトリック教徒の間には不信感が広がっている。世論調査機関のフォルサが『ビルト』紙の依頼で実施したアンケート調査によると、離教を検討している信者は全体の23%に達した。「教会は事実を隠ぺいしようとしている」との回答も77%と多く、教会が信頼を取り戻すのは容易でないとみられる。

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ちなみに「妻帯の禁止」が聖職者による性的虐待の一因となっているとの回答は半数に上った。独身義務の廃止に賛成する信者は87%と多く、カトリック教会は再考の時期を迎えているようだ。

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