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2010/5/5

経済産業情報

ドイツ初の洋上風力発電パーク、北海で稼働

この記事の要約

ドイツ初の洋上風力発電パーク「Alpha Ventus」が4月27日、公式に運転を開始した。同発電パークは電力大手3社(EWE、エーオン、バッテンフォール)が2億5,000万ユーロを投じて北海沖ボルクム島の北45キロの海 […]

ドイツ初の洋上風力発電パーク「Alpha Ventus」が4月27日、公式に運転を開始した。同発電パークは電力大手3社(EWE、エーオン、バッテンフォール)が2億5,000万ユーロを投じて北海沖ボルクム島の北45キロの海域に設置したもので、全12基のタービンの総発電能力は60メガワット(MW)に上り、5万世帯に電力を供給できる。発電開始の記念式典に出席したレットゲン連邦環境相は「風力発電は将来のエネルギー多角化の要となる」と述べ、洋上風力発電の拡大に期待を示した。

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ドイツはこれまで、洋上風力発電で英国やデンマーク、オランダに遅れをとってきた。法律で水深の浅い沿岸付近でのタービン設置が認められていないため、海岸から遠く離れた洋上に設置しなければならず、技術面やコスト面で解決すべき課題が多かったためだ。

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Alpha Ventusのタービンは水深30メートルの地点に設置された。悪天候などで設置作業は難航したものの、今回、無事に稼働したことで、洋上での発電所建設に弾みがつくことが予想される。洋上の風力電力の固定買い取り価格(助成金)が15セント/キロワット時と、内陸の風力電力より高いことも追い風になりそうだ。

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ドイツ政府は2030年までに北海、バルト海の風力発電能力を5MWタービンで5,000基に相当する2万5,000MWに拡大することを目標としている。すでにAlpha Ventusを含め25件の洋上風力発電プロジェクトが認可されており、電力大手EnBWは間もなくバルト海で風力発電パーク「Baltic 1」(48MW)の建設を開始する。ブレーメンの風力発電パーク開発・運営企業BARDがボルクム島の北94キロの海域に建設中の「BARD Offshore 1」(400MW)は年内にも稼働する見通しだ。電力最大手のエーオンや2位のRWE、米投資会社のブラックストーンも大型プロジェクトを計画している。 

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