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2010/5/12

経済産業情報

茅葺屋根が存続の危機に

この記事の要約

茅葺(かやぶき)は歴史的にみて最も古い屋根の1つである。考古学的に確認できるものでは今からおよそ6000年前のものが最も古い。ボーデン湖畔の高床式家屋で使われていた。遺物こそ見つからないものの、日本でも縄文時代から竪穴式 […]

茅葺(かやぶき)は歴史的にみて最も古い屋根の1つである。考古学的に確認できるものでは今からおよそ6000年前のものが最も古い。ボーデン湖畔の高床式家屋で使われていた。遺物こそ見つからないものの、日本でも縄文時代から竪穴式住居で用いられていたとみられる。

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さて、現代の日本では白川郷や神社などを除いてすっかり見かけることのなくなったこの茅葺、ドイツではなお健在である。西南ドイツのシュバルツバルトを歩くと時おり見かけるし、北海に浮かぶジルト島のカンペン村では茅葺以外の屋根が条例で禁止されている。国内には合わせて5万棟あるというから立派である。無責任は重々承知しているが、今後も大切に保存していただきたいと思う。

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この伝統ある牧歌的な屋根にも、しかし、現代の危機がひそかに忍び寄っている。リューベック大学建築・天然素材研究所のゲオルク・コンラーディ教授が『南ドイツ新聞』に語ったところによると、地球温暖化と大気汚染の影響で茅葺の「寿命」が最大80%も短くなりかねないとのこと。耐用年数は本来が30~40年あるのだが、最近は専門的な手入れを施さないと30年持たせることができないという。

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温暖化がなぜ良くないかと言うと、暖かく湿り気のある期間が長くなる結果、茅葺も湿気が多くなってしまうためだ。近隣農家から風に乗って運ばれてくる飼料成分を大量に含んだ空気や排ガス中の窒素酸化物も屋根に付着して微生物の格好の栄養となるため、材料の茅がぼろぼろになってしまう。

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同研究所はこの問題を化学素材を使わずに解決する方向でプロジェクトを進めている。茅が長期間、乾燥を保てるようにするのが課題という。

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