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2010/5/12

経済産業情報

愛は死を超えて、未亡人が妊娠の権利勝ち取る

この記事の要約

キリスト教系の結婚式では「死が2人を分かつまで愛を誓う」ことがある。シンプルながら含意が深く、新しい一歩を踏み出す2人にこれ以上の言葉はそうそうないと思われる。\ ところで、この死とは結婚する男女どちらかの死を意味するの […]

キリスト教系の結婚式では「死が2人を分かつまで愛を誓う」ことがある。シンプルながら含意が深く、新しい一歩を踏み出す2人にこれ以上の言葉はそうそうないと思われる。

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ところで、この死とは結婚する男女どちらかの死を意味するのか、それとも2人の死を意味するのか、そんな素朴な疑問を抱かせる裁判がドイツであった。

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裁判を起こしたのは2004年に結婚し、08年秋に夫と死別した29歳の女性。2人は夫がオートバイ事故で死亡する直前に人工授精した卵子9個を病院に預け冷凍保存させていた。

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原告女性は夫との死別後、人工授精した卵子の子宮への移植を病院に要請した。夫が死んだ後も愛を誓ったわけである。

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だが、病院サイドは無情にもこの要求を拒否した。死亡した男性の精子を人工授精に用いることが法律で禁止されており、求めに応じて移植すれば刑罰を科される恐れがあると判断したのである。

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女性はあきらめなかった。法律の番人である裁判所の判断を仰いたのだ。自分の正当な主張が通らないはずがないと考えたのだろう。

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しかし、、、第1審の裁判官は病院サイドの主張を全面的に支持する判決を下した。

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彼女はくじけなかった。その熱意が通じたなどということは絶対にないだろうが、控訴審のロストック高等裁判所は7日の判決で一審判決を破棄した。法律で禁止されているのは男性の死亡後にその精子を人工授精に用いることであり、男性が生存中に人工授精した卵子を移植することは合法だとの判断を示したのである。

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病院には今後、最高裁に上告する選択肢も残されている。ただ、移植手術を拒否してきた理由を考えれば、最高裁に持ち込んで争う意味はもはやないだろう。法律の壁を女性の愛が乗り越えたと言うと大げさだろうか。

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