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2010/5/12

経済産業情報

立体的に見える地図、ドレスデンの企業が開発

この記事の要約

ドレスデンのスタートアップ企業MBM Systemsが、地形図を立体(3D)印刷する技術を開発した。レンチキュラーレンズと呼ばれる特殊なレンズに印刷するもので、独自の印刷手法によって最大20センチメートルの高い奥行き効果 […]

ドレスデンのスタートアップ企業MBM Systemsが、地形図を立体(3D)印刷する技術を開発した。レンチキュラーレンズと呼ばれる特殊なレンズに印刷するもので、独自の印刷手法によって最大20センチメートルの高い奥行き効果と自然な立体感を実現した。3D地図印刷の開発・商品化に成功したのは同社が世界初という。5日付『ハンデルスブラット』が報じた。

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MBM設立のきっかけとなったのは、欧州宇宙機関(ESA)が2003年に打ち上げた火星探査機「マーズ・エクスプレス」だ。ドイツ航空宇宙センター(DLR)はマーズ・エクスプレスで得られたデータを元に地図を3D 印刷する技術の開発をドレスデン工科大学地形図研究所に依頼。2年にわたるこの研究プロジェクトに参加した学生の1人であるトーマス・グリュンデマン氏は卒業後、同じ大学で起業経営学を専攻したアレクサンダー・ハウン氏とコンビを組み、MBMを立ち上げた。

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MBMは欧州復興計画(ERP)によるベンチャーキャピタルファンド(ERP-Startfonds)から支援を受けて、製品化に成功。06年のライプチヒ書籍見本市で初めて製品を紹介した。来場者の関心は予想以上に高く、「こぎれいな印象を与えるために」展示ブースに敷いた白い新品のカーペットは、ひっきりなしに押し寄せる見学者の足跡で「最終日には見る影もなく真っ黒になっていた」という。

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見本市で大きな評判を得たものの、市場では3D地図の知名度が上がらず販売は伸び悩んだ。地図の販売ルートはほぼ書店だけに限られるため、多くの人の目に触れる機会がないこともネックとなった。グリュンデマン氏とハウン氏はこうした苦況を打開するため、3D地図のノウハウを生かした3Dカードを発売。書店のほかスーパー、ガソリンスタンドなどにも販路を広げ、09年には売上高140万ユーロを達成した。今年は初の黒字を見込んでいる。

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