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2010/5/12

経済産業情報

多接合型太陽電池で変換効率41.4%を実現

この記事の要約

フラウンホーファー太陽エネルギー研究所(ISE)の物理学者フランク・ディムロート氏は昨年1月、3層構造の多接合型太陽電池で変換効率41.4%を実現した。従来のシリコン太陽電池の変換効率は20%に満たない。同氏はこの功績を […]

フラウンホーファー太陽エネルギー研究所(ISE)の物理学者フランク・ディムロート氏は昨年1月、3層構造の多接合型太陽電池で変換効率41.4%を実現した。従来のシリコン太陽電池の変換効率は20%に満たない。同氏はこの功績を称えられ、6月9日にフランス学士院からの「Fondation Louis D」賞(賞金額75万ユーロ)を受賞する。『ヴェルト』紙が6日付で報じた。

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ディムロート氏がISEのチームと共同で開発した太陽電池は、入射光が到達する順にGaInP(ガリウム・インジウム・リン)、GaInAs(ガリウム・インジウム・ヒ素)、Ge(ゲルマニウム)基板という3接合を積層したもの。3層がそれぞれ波長の異なる太陽光を吸収するため変換効率が向上した。

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ただ、多接合型太陽電池の製造コストは従来のシリコン太陽電池の50倍に上る。発電効率が2倍であることを考慮しても、経済性は従来の太陽電池の25の1と低い。ディムロート氏は、◇基板に割高の半導体ではなく光学レンズを使用する◇製造工程のオートメーション化を進める――ことなどを通して製造コストを大幅に低減できるとするが、実現には時間がかかりそうだ。また、多接合型太陽電池の高い変換効率を最大限に利用するには、日差しが強い南欧や北アフリカに設置し、太陽の動きに合わせて電池表面の向きを変える必要がある。

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ディムロート氏は多接合型太陽電池を製品化する目的で、2005年に研究者仲間とスピンオフ企業Concentrixを設立した。同社には現在、仏半導体メーカーのSoitecが80%出資している。

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