ニューヨーク証券取引所(Nyse)から撤退するドイツの大手企業がここ数年、相次いでいる。14日には、1993年に上場した自動車大手ダイムラーが撤退を発表。Nyse上場の独企業は最盛期の17社から4社に減少する。
\ドイツの大手企業は1990年代、「Nyse上場は米国投資家の獲得や国際プレーヤーとしてのステータス確保のために不可欠」という時流に乗ってウォールストリートに次々と進出した。ただ、その後はエンロン事件など粉飾決算事件の発覚で、証券市場規制が厳格化され、上場コストがかさむようになった。米国会計方式による決算報告義務も大きな負担となり、数年前からインフィニオン(半導体)、バイエル(化学)、BASF(同)、エーオン(エネルギー)が撤退。昨年9月にはアリアンツ(保険)、今年4月にもドイツテレコムが上場廃止方針を発表した。
\Nyseで取引されているダイムラー株は全体の5%にすぎず、撤退はコスト削減につながる。また、ダイムラーは贈賄問題をめぐり4月初めに米司法省と証券取引委員会(SEC)に総額1億8,500万ドルを支払い、和解することで合意しており、撤退の背景にはSECとのこれ以上の争いを回避したいという思惑もあるようだ。
\ニューヨーク市場に残る上場企業はドイツ銀行、SAP(ソフトウエア)、シーメンス(電機)、フレゼニウス・メディカル・ケア(人工透析)の4社。いずれの企業も米国市場と関わりが深く、ニューヨークからの撤退は考えていないという。
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